Q 国等から補助金・助成金をもらった場合税金はかかるか。
Q 固定資産の圧縮記帳のメリットとは?
Q 会社をつくらないと補助金をもらえないのか。個人はもらえないのか。
Q 同じ内容で複数の補助金制度に申請することはできるか。
Q 中古の設備を購入しても補助金はもらえないと聞いたが本当か。
※下記の解説文は一般的なルールにもとづいて記述したものです。
補助金・助成金の制度は毎年改訂されますので、応募を検討される際には
該当年度に発行された最新版の手引書などを参照して確認してください。
Q 補助金と助成金の違いは何ですか。
A どちらも返済の必要がないという意味ではまったく同じと考えてよいでしょう。
厚生労働省の管轄の制度では助成金と呼び、経済産業省などその他の政府機関管轄の
ものが補助金だということもよく言われますが、おそらく慣例でそのような呼び方に
なっていると思われます。
助成金は要件が整っていれば必ずもらえ、補助金は事業計画の優秀性を競争するもの
だという捉え方もあります。
しかし助成事業であっても限られた予算の中で一斉に募集を受け付けるものの場合
応募された計画の中から優秀なものを採択することになりますのでやはり競争的な
要素が入ってきます。
公募開始の際には必ず手引書が発行されますのでその都度それを熟読し、採択・交付
されるための条件を確認することが大切です。
Q 補助金の仕訳について教えてほしい。
A 営業活動で得たお金ではないので雑収入として仕訳をします。
100万円の補助金が認められ、通知が来た時(交付決定通知書など)に雑収入として
収益が発生することになりますが、その100万円は補助金交付の理由となる事業が
完了した後に支払われることが多いため、それまでは未収入金として計上されること
になります。
借方:未収入金100万円の増加 貸方:雑収入100万円の増加となります。
そして100万円が振り込まれた時に普通預金または当座預金が増え、未収金が減ると
いう仕訳を行えばそれで完了です。
借方:(普通・当座)預金100万円の増加 貸方:未収入金100万円の減少です。
Q 国等から補助金をもらった場合税金はかかるか。
A 企業の一時所得ですので障碍者関連補助金などを除いたほとんどの補助金は課税対象
となります。1000万円もらってもそこから税金を差し引いて考えておいた方がよいと
いうことですね。
仮に1500万円の設備を購入し、同じ年に1000万円の補助金をもらった場合を例に
あげて見てみましょう。
補助金としてもらった1000万円は原価ゼロですからまるまる利益となります。
法人事業税率を仮に40%と家庭すると初年度にいきなり400万円の税負担が生じて
しまいます。
このような過大な課税負担を防ぐために圧縮記帳という制度があります。
(次のQへ)
Q 固定資産の圧縮記帳のメリットとは?
A 固定資産の圧縮記帳とは、補助金に対して発生する税金を、もらった年に一度に納める
とたいへんなのでそれを繰り延べて納めるようにするための方法です。
例えば1000万円の補助金をもらい1500万円の機械装置を購入する場合を考えてみま
しょう。
原価ゼロで1000万円の補助金をもらうわけですからそれがまるまる利益となります。
ですから仮に税率40%とすると補助金をもらった年が終わるとその分だけで400万円の
法人税を納めなければなりません。
しかし圧縮記帳をした場合、1000万円の利益を帳消しにする固定資産圧縮損を計上
します。これによって1000万円の補助金にかかる法人税はゼロになります。
どうやるかというと、機械装置は1500万円でしたがここから1000万円を圧縮し、
機械装置の帳簿価額を500万円にします。(圧縮記帳)
補助金として得た1000万円の利益を固定資産圧縮損として帳消しにできるため
法人税はゼロとなります。
しかし喜ぶのは早すぎます。
1500万円の機械を買ったので本来は毎年150万円の減価償却費を計上するはずでした。
(10年定額償却の場合)
しかしその機械の帳簿価額は500万円となりましたので減価償却費は500万円の機械に
対して行うこととなる結果毎年50万円の費用を計上することになります。
その差は100万円。(150万円ー50万円)つまり圧縮記帳をした後は、本来150万円
の減価償却費50万円になります。
150万円の費用のはずが50万円になったということは、その差額である100万円分だけ
利益を多く計上することでもあります。
その結果どういうことがおこるかというと、増えた100万円の利益に対して課税されま
すので、償却期間の10年間では、100万円×40%×10年=400万円の税金が圧縮記帳を
しない場合に比べて増えることを意味します。
最初の一年に納めるはずだった400万円を結果的に10年かけて納めることになります。
税金そのものが免除になるのではないので「儲かった」と喜んでばかりいられません。
Q 会社をつくらないと補助金はもらえないのか。個人はもらえないのか。
A 住宅改修などの個人向けの補助金ではなく、機械装置や店舗改装など一般的には会社が
申請する性質のものという仮定で回答します。
例えばものづくり補助金などは個人でも申請可能です。ただし「個人事業主」として
開業届を出していることが条件となります。
個人であっても何かの事業を行うための設備投資に対する補助だからです。
自分の趣味のために3Dプリンタを買うということでは補助金はもらえません。
補助金制度が発表される際に必ず発行される手引書に申請できる条件が必ず書いてあり
ますのでそちらを参照してください。制度のホームページからダウンロードできます。
Q 同じ内容で複数の補助金制度に申請することはできるか
A 特別に禁止事項が設定されていなければ申請できます。
ただし両方の制度で採択されたらそのうち一つに絞り込まなければなりません。一台の
機械を買い、その代金を東京都と国の両方からもらったらダブってお金をもらうことに
なってしまいますので。
Q 中古の設備を購入しても補助金はもらえないと聞いたが本当か。
A 本当です。その理由はその機械の価格の妥当性が判断できないからです。
一概に中古品といっても経過年数やメンテナンスの状況によってその効用は異なる
はずであり、客観的に価格を査定するのは困難でしょう。
仮に企業が正確に査定したからといってもそれを審査する国や地方自治体などが判断
できる保証はありません。